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日本地球化学会会長 海老原 充
日本地球化学会はその前身を地球化学研究会においていますが, そこから数えるとその歴史は50年を優に超え,もうじき60年になろうとしています。研究会発足当時は200名ほどの会員数でしたが,この間の先輩諸氏の努力によって,現在では約1000名の会員を擁するまでになりました。
地球化学とは元素やそれを構成する核種(同位体)の量やその変化を通して,地球化学的現象を解明する学問と言えるでしょう。この地球化学的現象としては,太陽系や地球の誕生・進化から,過去・現在の地球環境変動まで,実に多岐にわたる現象を含みます。地球化学の大きな特徴は,その拠って立つところが化学のほか,岩石・鉱物学,地質学,地球物理学,天文学等々の様々な学問領域の重ね合った,いわば境界領域にあるという点であり,その為に既存の枠に縛られない自由があると言う点です。もう一つ,フロンティアが沢山あるということも大きな特徴として挙げられます。惑星探査,深海底探査,過去に遡っての地球環境復元,将来に向けての環境変動予測等々,地球化学の対象物の空間軸,時間軸が時代とともに大きく広がっています。
日本地球化学会の活動の大きな柱として出版と学術集会(学会)が挙げられます。日本地球化学会の出版物としては英文論文誌Geochemical Journalと和文誌「地球化学」があり,全会員に配付されています。Geochemical Journalに関しては電子化への転換がすすめられていますが,これは時代の流れではありますが,会の財政の健全化を図るという側面も持ちます。「地球化学」は和文論文誌として,また会員間のコミュニケーションを図るための情報誌として,今後も重要な位置を占めるものです。「地球化学」誌に関しては,当面電子化は考えません。日本地球化学会の学会活動としてはまず年会が挙げられますが,ここ数年,セッション性を導入することによって参加者,発表件数が増加しており,学会の活性化に大いに寄与していることは大変喜ばしいことだと思います。今後の年会の開催に関しては,評議員会との連携を密にする方針であり,年会が今後益々活発になることを期待するものです。会員が関わる年会以外の学会活動として,地球惑星科学連合とゴールドシュミット国際会議がありますが,これらの会議には日本地球化学会としてもこれまで同様,積極的に関わっていく所存です。
上記の通り,日本地球化学会はこれまで順風満帆とまでは言えないまでも,会員の満足度という点ではある程度高い評価を得てきたのではないかと思うのですが,今後もこの状態を維持していくため,今期は財政の健全化と法人化導入の検討を重点的にすすめる予定です。これらの問題はある意味で関連しており,有機的に議論を重ねる必要があります。今期の活動の主な柱はこの2つに位置づけていますが,それ以外にも会の活性化に結びつく活動をきめ細かく実施していくことを心がけます。地球化学会の発展の為に微力ながら,最大限の努力を傾ける所存です。会員の皆様のご協力を切にお願いいたします。
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