■ 一般社団法人日本地球化学会設立にあたってのご挨拶

益田晴恵(一般社団法人日本地球化学会 会長)
圦本尚義(日本地球化学会前会長)

 平成29年9月14日に開催された日本地球化学会総会において,一般社団法人日本地球化学会の設立,任意団体日本地球化学会の解散,任意団体日本地球化学会の残余財産及び会員の一般社団法人日本地球化学会への移行が承認されました.平成29年11月1日に設立登記を完了し,一般社団法人日本地球化学会が設立され,同日,全会員が一般社団法人日本地球化学会へ移行されましたことをお知らせいたします.

 日本地球化学会は1953年に地球化学研究会として船出しました.1963年に日本地球化学会と名称を改め,今に至ります.この間,Geochemical Journal(1966年),地球化学(1967年)を発刊し,活発な研究活動を行ってきました.なお,Geochemical Journalは我が国で発行された地球惑星科学分野では最初のSCI(インパクトファクターを与えられる)国際学術誌でした.Geochemical Journalの発刊に象徴されるように,先達は,本学会員の活動が国際的に認知されるよう,高い志を持って本学会の活動を支えてこられました.近年では,中国鉱物岩石地球化学会,Geochemical Society,European Association of Geochemistry,韓国地質学会等とMOUを締結し,国際的な連携活動を推進しています.
 発足当時200名であった会員数は,900名を上回る程度まで増えました。我が国の人口減少に伴って会員数が減少する学会が多い中で,この会員数をしばらくの間,維持しております.また,学生を含む若手会員が3割程度と,高い割合を示すことが本学会の特徴でもあります.さらに,女性会員の活躍も目立っています.研究活動や学会運営でも常に一定の割合の若手・女性研究者が参画してきました.地球惑星科学分野でダイバーシティに関わる活動を先導してきたと自負しています.また,無償の講師派遣等で,早い時期から地球化学の普及活動にも熱心に取り組んできました.
 このような状況のもと,今回,法人化が達成されました。法人化の意義は,学会が社会的信用を得,社会に貢献している団体として認知されることです.学会がますます発展し続け,会員交流の場としてさらに存在意義を高めるために,私たち初代役員は,会員の皆様とともに学会を運営して行きたいと考えています.会員の皆様におかれましても,日本地球化学会の活動にこれまで以上に積極的に協力していただけるよう,今後ともよろしくお願いします.