地球の中はどうなっているの? どうやって調べるの?
 地球は、半径が約6400kmのほぼ球形をしています。その内部も球殻(厚みをもった球面状の殻)が何層も積み重なったような構造をしており、地球の表面から中心に向かって深くなるに従い、物質の化学組成や構造、圧力、温度が変化します。地球の中心部では、360万気圧、5000度にも達すると考えられています。また、化学組成の不連続的な変化に基づいて、(1)地球表面を覆う厚さ約5-70km(海洋地域では薄く、大陸では厚い傾向がある)の地殻、(2)地殻の下から深さ約2900kmまでのマントル、(3)マントルの下から地球中心までの核の3つの部分に分けられます。(1)と(2)は主にケイ酸塩の岩石からなりますが、(1)の方がよりSi, Al, Ca, アルカリ元素(NaやKなど)に富み、Mgに乏しいという違いがあります。(3)は主にFeを主成分とする金属からなります。

 このような構造と組成は、さまざまな方法で調べられた結果、次第に明らかになってきました。一つは、地震波を使う方法です。すいかをたたいて実がつまっているかを調べたり、聴診器を当ててからだの様子を探るように、地震波の波の伝わり方から地球内部を調べることができます。この方法は、異なる層の境界がどこにあるかを調べる上では大変有用で、地殻、マントル、核の境界とともに、それぞれの中にも、深さ方向に大きく波の伝わり方が変化するところがあることがわかりました。例えば、核の中は、深さ約5150kmを境にして、外側の液体部分(外核)と内側の固体部分(内核)からなることが分かりました。

 しかし、地球内部を構成する岩石の種類や化学組成は詳しくは分かりません。実際の地球表面附近の岩石は、直接地質調査やボーリング(掘削)によって細かく調べることができますが、地殻およびマントルの上部付近に限られます。より深部のマントルの様子は、火山のマグマに含まれる地球内部の岩石や鉱物のかけら(それぞれゼノリス、ゼノクリストとよばれる)や、マグマそのものに含まれる成分を調べることによって(医学に例えるなら、血液検査によって)わかってきました。

 コアの物質を直接手に取ることはできませんが、地球全体の化学組成を隕石や太陽の化学組成から推定し、そこから地殻やマントルの成分を差し引いて化学組成を推定することができます。そのようにして推定された成分は、Fe, Niなどの重い元素に富むものです(より軽い元素も少し含まれているようです)。地球中心分に重い物質があることは、地震波の伝わり方や地球の慣性モーメント(自転の止まりにくさを表し、地球は密度が一様な球よりも止まりやすい)とも合致します。

 最近では、人体のCTスキャンにも似た、地震波トモグラフィーという手法によって、地球内部の3次元的な構造を細かくみることができるようになってきました。地球内部の電磁気的性質やニュートリノを使った新しい方法によって、地球の内部構造がより具体的に明らかになると期待されています。また、内部の流動現象(マントル対流や外核の対流)についてのコンピュータシミュレーションによっても、地球の内部では、人体のように活発に物やエネルギーが運ばれ、地球のダイナミックな現象を引き起こしている様子が分かるようになってきました。

(岩森 光)