■東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設 地球化学研究室 荒川雅 吉野徹
記念すべき連載第3回目は,東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設・地球化学研究室の紹介を,修士1年の荒川,吉野がお送り致します。 地殻化学実験施設の教官は,化学専攻と地球惑星科学専攻の両専攻の教育に携わっています(そのため,大学院はどちらの専攻からでも受験できます)。化学専攻では,長尾教授の主宰する惑星化学研究室と,野津教授・鍵助教授の主宰する地球化学研究室が2つの研究室として属し,地球惑星科学専攻では,長尾研究室,野津研究室,森研究室が地球惑星システム科学グループの中に属しています。しかし実質的には角森助手,角野助手,技術補佐員,事務補佐員を加えて,大講座的な運営を行っています。 我々の研究室では火山や地震に関連する化学現象の解明やマントルに匹敵する圧力条件での鉱物などの物理化学的な性質を探る研究を進めています。この様に多岐にわたるテーマを扱っているため,実際には火山ガス観測,地下水観測,室内実験の3チームにわかれて,互いに連係し合い研究を行っています。ここで,簡単ではありますがそれぞれの分野について紹介します。 |
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![]() AFMは液中でも測定可能なので結晶の溶解や成長の過程を原子レベルで観察できます。これまでには,希土類元素であるランタンを添加することで,カルサイトのステップに何らかの沈殿物が析出し,成長も溶解も止めてしまうことがわかりました。最近では生体鉱物を意識し,アミノ酸を添加した同様の系で実験を行っています(生体鉱物の研究のために金魚の飼育も始めました)。本研究室のSNOMはAFMを改造した自作品ですが,その性能は既製品と比べても遜色ないものです。SNOMは表面の凹凸像だけでなく,同時に数十nmオーダーの高空間分解能で蛍光スペクトルの測定ができ,その応用は地球化学のみならず材料科学など様々な分野で期待されています。この他,高エネルギー加速器研究機構でX線吸収微細構造(XAFS)の測定も継続的に行っています。 |
![]() 毎年7月には,化学専攻内の研究室対抗ソフトボール大会が開催されます。一昨年は練習の甲斐あり,準優勝の成績を修めることができました。今年は監督吉野,主将荒川という万全の布陣で優勝を目指し,この執筆の合間にも激しいトレーニングを続けています(「まだまだ足らないよ,ハッハッハ」鍵助教授談)。この他レクリエーション的なものとして,春はキャンパス内での花見,夏は鎌倉での花火見物などを楽しんでいます。 |
長々とお付き合い有難うございました。二人で執筆したため,途中で文体が変わるなどの読み苦しい点が多々あったかと思いますが,どうかお許しください。紙面の都合上,本文中では紹介し切れなかった部分も多くあります。少しでも興味を持たれた方は,地殻化学実験施設のホームページ(http://www.eqchem.s.u-tokyo.ac.jp/)を是非ご覧ください。それではまたどこかでお会いしましょう。荒川,吉野でした。 |
東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設 地球化学研究室
2006年9月8日